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2017.02.26更新

 中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から「タックス・ヘイブン」を利用している人たちに関する膨大な内部資料が「ジョン・ドウ」(洋画を観ていると「身元不明の死体」が発見されたときに刑事が付ける名前)と名乗るフォンセカ社員により南ドイツ新聞に提供されました。
どのくらい膨大な資料かというと、データ容量は2.6テラバイトと言いますから、文庫本26,000冊分、デジタルカメラでの写真65万枚分、120ギガバイトのiPadで20個分の容量です。
そのデータに何が入っていたかを見る前に、「タックス・ヘイブン」について説明しますと、ヘブン(heaven=天国)ではなくヘイブン(haven=回避)です。したがって「タックス・ヘイブン」は「税金天国」ではなく「租税回避地」になります。
例えば「タックス・ヘイブン」国であるケイマン諸島等で法人が登記をすると、どんなに稼ぎまくっても全く税金はかからないため、世界中のお金持ちが法人登記をしてくるので、ケイマン諸島の国には莫大な登記料が入るという構造です。
その会社設立の登記をしていたのがフォンセカ法律事務所で、その「パナマ文書」には1977年から2015年にかけてフォンセカに依頼して登記をした21万社のデータが入っているのです。
データ暴露のため、アイスランド首相グンロイグソンがアイスランドで利益を上げると税金がかかるので、バージン諸島に設立した会社を通じてアイスランドの銀行に投資をしていることがバレてしまい首相辞任に追い込まれたのをはじめ、中国習近平と最高指導部メンバーらの親族のバージン諸島の企業への出資、ロシアプーチン大統領の親友のチェロ奏者が20億ドルの不透明な資金を運用、英国キャメロン首相の父親がパナマで資産隠しをしていた疑惑などが明らかになり、ほかにもサッカーのメッシ、映画監督スタンリー・キュブリックなどの有名人も「パナマ文書」に、その名を連ねています。
ここでなぜ日本人の名前が出てこないかと言うと(大手警備会社セコムの創業者の名前が出たくらい)、どうやら①日本では香港の法律事務所を通じての「タックス・ヘイブン」国での登記が多いこと、②日本の国税庁は相続税のかかりそうな人には生前から徹底的にマークして銀行に調査依頼し、日本の銀行はケイマンの国とは真逆でいくらでも国税庁に協力するので資産隠しが容易でないこと、③日本の政治家は、政治団体に年1千万円までの寄付は非課税で、政治団体をいくつも作ることで相続税を逃れられることができるために安倍首相も父の政治団体を無税で引き継ぎ、小泉進次郎の政治団体にも父純一郎の政治団体から寄付を受けています。
さてその「パナマ文書」がなぜ世に出たのかと言うと、フォンセカ法律事務所の「ジョン・ドウ」が義憤に駆られてのことで、「腐ったビジネスをやめさせたい」との気持ちからだそうです。「タックス・ヘイブン」国の法律事務所に法人設立をした人はさぞ戦々恐々、小心翼々なキブンなことでしょう。

投稿者: 税理士法人SETACS